──遊びながら「構成・注意・図形認知」を鍛えよう──
高次脳機能障害、特に構成障害や注意障害のリハビリでは、
「図形を再現するのが難しくなった」
「まとまりのある形が作りにくい」
「見本を見ても同じ形にできない」
といった困りごとがよくみられます。
そんなとき、公文式(くもん出版)のおもちゃは、
遊び感覚でできるのに、
構成力・注意力・空間認知をしっかり使う優秀な教材になります。
成人している方におもちゃ?と思われるかもしれませんが
あなどるなかれ…!臨床的な視点から見てもかなり使えます!
今回は、実際の臨床でも使用していて
家庭でも使いやすい
公文式パズル5種類を“難易度順”に紹介します。

※難易度は筆者の実際の使用感にもとづくもので、公式の基準ではありません。
◆ 簡単で、構成の“導入”に:さんかくたんぐらむ
ー簡単で、構成の“導入”にしやすいー
三角形のピースのみ、で構成されているため、
形のバリエーションが少なく負荷が低め。
高次脳の方が「久しぶりの構成活動」をはじめるときに取り組みやすい教材です。
基本はガイドボード(専用のはめ型)を使用し
慣れたらガイドブック(冊子)のシルエットを使うと
いろんなバリエーションの形を作ることができます。
・ピース選びの迷いがない
・向き・角度の操作もシンプル
構成障害の“最初の一歩”として、
重度の方にも使いやすく
成功体験も積みやすい課題です。
◆スタンダードで、分かりやすく使いやすい:NEWたんぐらむ
ースタンダードで、分かりやすく使いやすいー
タングラムの定番商品です。
内容は1の「さんかくたんぐらむ」と同じで
ガイドボードとガイドブックを使用します。
ピースの形が7種と多様になり、「さんかくたんぐらむ」より
視空間認知・構成能力がより求められます。
一旦はまったかのように思えて
進めるうちに最後がはまらなくなることで
試行錯誤の力や・諦めない集中力なども鍛えられます。
・大きな図形にも挑戦
・ガイドブックには原寸大見本と縮小見本があり難易度UPも可能
個人的にはさんかくたんぐらむよりも使用頻度が多いパズルです。
◆“見本再現”の練習に:図形キューブつみき
ー“見本再現”の練習に最適ー
見本カードを見ながら、
同じ形にキューブを組み上げる教材です。
構成障害の核となる
「見本を保持しながら作る」
という力が必要になるため、認知負荷は少し上がります。
課題カード(見本)の難易度は4段階になっており、
後半では平面よりさらに空間認知を要する立体模倣も可能です。
課題カードの模倣以外にも数の練習や色合わせなど様々な課題に応用できます。
・平面~立体と難易度調整が幅広い
・どの順番で組むかを考える遂行機能にも
・模倣課題以外にも応用的に色々使える

応用が効きやすく、5つの中で筆者が一番好きな教材です。
◆色・形・位置の処理を同時に:図形モザイクパズル
ー色・形・位置の処理を同時に行うー
モザイクパズルは、
「どの色を」「どの形を」「どこに置くか」
という多要素の処理が必要です。
複数の色・形を組み合わせて
様々な模様を作ることができます。
始めは簡単な型はめからですが
全体としての難易度は比較的高いため、構成能力だけでなく
集中力・注意力・模倣力など様々な能力が鍛えられます。
・大きな作品では時間を要すので集中力が必要
・構成以外の様々な能力にもアプローチできる
デメリットとしては
・ピースが小さめなので麻痺の方などは配慮が必要なことも
・付属のケースがないため収納がやや不便
◆最難度レベル:立体たんぐらむ
ー空間認知の負荷が一気に上がる、最難度レベルー
2025.3に発売されたばかりとのことで
こちらはまだ使用したことがありませんが
今回調べていて気になったパズルです。
立体を組み立てるタイプなので、
平面タングラムより圧倒的に負荷が高い教材になります。
ピースの形も複雑で、慣れるまではかなり苦労しそう。
上から見た形だけでなく前後左右からじっくり観察する洞察力も必要です。
・ピースそのものが複雑な立体図形
・見本そのままではなく、見本から読み取る力が鍛えられる
・立体回転の操作や内部構造のイメージなど見えない部分までの想像力も必要
とにかく難しいと思うので、もはやこれが出来たら
「構成障害は克服した!」といってもいいレベルではないでしょうか…?
最初の1歩のつもりでたんぐらむを探している方は、
誤ってこちらを買わないよう要注意!!笑
まとめ:公文式パズルは“遊びながら鍛えられる”優秀なリハ教材
公文式のおもちゃは、
見た目は「知育玩具」ですが、
内容は非常に理にかなっていて、
視空間認知・構成障害・注意障害の認知トレーニングとしても相性抜群。
市販で手に入りやすく、自宅で取り入れやすい点も魅力です。
記事内のリンクから購入も可能なので、
気になったものがあればぜひチェックしてみてくださいね!



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