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失語症のリハビリというと、病院やクリニックでSTと行うイメージが強いかもしれません。
でも、毎日の生活の中でできることも実はたくさんあります。
この記事では、失語症のご家族や介護者の方に向けて
日々のコミュニケーションや生活の質を上げることを目的とし
症状の重さ別に使いやすいグッズを紹介します。
※失語症の症状は本当に人それぞれです。
紹介しているグッズが必ずしも全員に合うわけではありませんので
気になるものがあれば担当のSTに相談しながら取り入れてみてください。
重症度の目安について
はじめに、簡単に重症度の目安をお伝えします。
重度:言葉での意思疎通がほとんど難しく、うなずきや表情、身振りでコミュニケーションをとっている状態。
中等度:単語や短い言葉は出るが、文章での会話が難しい状態。聞いて理解できることと、話せることの間に差があることも多い。
軽度:日常会話はある程度できるが、言葉が出にくかったり、読み書きに時間がかかったりする状態。
あくまで目安ですので、担当のSTに確認しながら参考にしてみてください。
【重度】まずは「伝わる」経験を増やすこと
重度の失語症の方にとって「課題をこなすリハビリ」より先に大切なのが、
日常のコミュニケーションを少しでもスムーズにすることです。
STの立場からいうと、
日常生活のコミュニケーションそのものがリハビリになります。
「うまく伝わった」「わかってもらえた」という経験が
会話への意欲となり言語機能の回復にもつながっていくからです。
早く元に戻ってほしいという思いから焦って課題を優先しがちですが
まずはおうちの中で「思いが通じる」経験を増やしていきましょう。
写真カードを手作りしてみよう
市販の絵カードなどもありますが、コミュニケーションを円滑にするためには
本人の生活に合わせた写真カードが断然おすすめです。
よく飲む薬、好きな食べ物、家族の顔、トイレやお風呂の場所。
そういった「その人の日常」を写真に撮ってカード化するだけで
立派なコミュニケーションツールになります。
スマホで撮った写真を使用するのもOKですが
「スマホは苦手…」という方にはチェキがおすすめです。
チェキとは、富士フイルムから出ているインスタントカメラのことです。
シャッターを押すだけでその場で写真が出てくる、昔ながらのインスタントカメラの現代版といえば伝わるでしょうか。
物自体には若者向けのイメージがあるかもしれませんが、実はとてもシンプルな機械です。
スマホのように画面を操作する必要はなく、作業としてはむしろアナログ。
機械が苦手な方でも直感的に使えます。
チェキはいくつか種類がありますが、シンプルで使いやすいmini 12がおすすめです。
余計な機能がなく、はじめて使う方でも迷わず操作できます。撮影時に必要なフィルムも一緒に購入すると安心です。
(※記事執筆時点での情報です。)
持ち運びも簡単なので施設に入居されている方にも活用できます。
面会のときに一緒に写真を撮って、スタッフさんとの橋渡しに使ってもらうのもひとつの方法です。
「この写真のご飯が好きです」「この家族に連絡してほしい」といった
意思を伝えるツールとして活用できます。
【中等度】目的別にグッズを選んでみよう
中等度の失語症は、特に患者さまによって症状の出方がさまざまです。
ここでは「何を練習したいか」で選べるグッズを2つ紹介します。
どちらも子ども向け教材ですが、実際のリハビリ現場で使っている道具ですので
安心して取り入れてみてください。
慣れてきたら、お孫さんなどご家族と一緒に遊ぶのもおすすめです。
聞く力をつけたい方へ|スリーヒントカード(おさるのジョージ)
3つのヒントを聞き、答えとなるカードを当てるカードゲームです。
リハビリの現場でもよく使われている定番教材で、子ども向けですが大人でも十分取り組めます。
「聞いて選ぶ」の練習だけでなく、
工夫次第でさまざまな課題として応用できます。
- 難易度を下げたいとき:最初は2択・3択など枚数を絞って行う
- 読む練習に:聞くだけではなく本人自身がカードを見て読んで行う
- さらに負荷をかけるなら:読む際に声に出して音読する
- 聞いた内容を話す練習に:絵を見てどんな場面か説明する
- 書く練習に:答えや説明を紙に書いてみる
たくさんリハビリグッズを揃えるのはご家庭では難しいので
1セットでこれだけの使い方ができるのが魅力です。
言葉をもっと増やしたい方へ|公文式カード
絵を見て言葉を引き出す練習として使用できるカードです。
失語症で最も困る「言葉がなかなか出てこない(喚語困難)」という症状に向けた練習ができます。
公文式からはさまざまな種類のカードが出ていますが、特におすすめしたいのはこの3種類です。
・ひらがなカード
「あ〜ん」までの各文字で始まる言葉が描かれた絵カード。絵を見てその名前を言う練習に。
・反対ことばカード
「上↔下」「大きい↔小さい」など反対語が裏表に記載されているカード。おもて面をヒントにうら面の言葉を言うことで、形容詞などの練習に。
ぶん(文)カード
「青い+風船」など2つの言葉でできた短い文章のカード。単語から文へのステップアップに。
今の状態や改善したい内容に合わせて使用できるのが利点です。
| カードの種類 | 内容 | 難易度 |
|---|---|---|
| ひらがなカード | 絵を見て名前を言う | ★☆☆ |
| 反対ことばカード | 絵を見て反対の言葉を言う | ★★☆ |
| ぶんカード | 絵を見て短い文を作る | ★★★ |
実際のリハビリでは必要に応じてカード上の文字を隠して使っています。
(筆者は大きめのふせんをペタッと貼って隠していますよ!)
こちらもスリーヒントカードと同様に
- 単語を声に出して読む「音読の練習」
- 単語を書き写す/見本を見ずに書くなど「書く練習」
- 数枚並べて、聞こえた単語をとる「聞く練習」
などなど工夫次第でいろんな課題へ応用できます。
【軽度】楽しみながら言葉に触れ続けよう
軽度の方には、「訓練」として構えるよりも
楽しみながら言葉に触れ続けることが大切です。
コトコ(失語症からの言葉ノート)
失語症の方向けに作られた専門のドリル雑誌です。
中等度後半〜軽度の方に向いています。
病院での訓練用ではなく、家庭で取り組みやすいように設計されているのが大きな特徴です。
使い方が専門家でなくてもわかりやすく書いてあり
専門知識のないご家族でも上手なヒントが出せる工夫などが書かれているので
一緒に取り組みやすいと思います。
専門家がリハビリでやるような内容を、自宅でも無理なく続けられる一冊です。
クロスワードパズルで言葉の引き出しを増やす
言葉を増やす練習としておすすめなのが、クロスワードパズルです。
難易度がかなりさまざまなので一概には言えませんが、筆者のおすすめはこちらです。
「重要語句が身につく!小学1・2年生のクロスワードパズル」
出てくる単語が難しすぎず、取り組みやすいレベル感です。
言葉の練習だけでなく、問題によっては計算が含まれるものもあり、
脳トレ的な要素もあって一石二鳥です。 簡単すぎると感じたら3・4年生版もあります。
もう少し難易度を上げたい場合はこちら。
「大人のワークブック 小学校で習った言葉で解けるクロスワード(川島隆太)」
出てくる単語は少し難易度アップ。大人向けの見た目なので違和感なく取り組めます。

もっと難易度を上げたい方は市販の好みのものを選んでもOKです。
正直なところ、そのレベルまで来たら言語訓練としてのリハビリは
ほぼ卒業といっていいと思います。
【番外編】グッズを使う前に読んでほしい一冊
突然「失語症です」と告げられて、どう関わればいいのか、何をしてあげればいいのか、
戸惑っているご家族もたくさんいると思います。
グッズを試す前に、まず失語症そのものを知ることが何より大切な一歩です。
そんなご家族にぜひ読んでほしい一冊があります。
「失語症の理解とケア」
学生時代の実習先で、指導担当の先生に勧められて読んだ本です。
古い本ですが、失語症とは何か、どう関わればいいかが本当にわかりやすく書かれていて
「STになったら絶対家族に読んでほしい」とずっと思っていました。
医療職向けではなく、ご家族が読んでも理解しやすい内容です。
グッズを使う前に、まずこの一冊で失語症への理解を深めてもらえると、
日々の関わりがきっと変わると思います。
今回調べてみたところ、現在は新品での購入が難しい状況です。
中古品であれば各サイトで見つかることがありますので、
気になる方はぜひ探してみてください。
まとめ
失語症のリハビリは、病院だけで完結するものではありません。
毎日の生活の中で「伝わる」「わかる」という経験を積み重ねることが
回復への大きな力になります。
実際、自宅へ退院されてから何年もかけながら
家でのリハビリや通院でどんどん良くなっていく患者さんはたくさんいます。
今回紹介したグッズはどれも手に入れやすいものばかりですが
大切なのは続けることと本人に合った使い方をすること。
「試してみたい」と思ったものがあれば
ぜひ担当のSTにも相談しながら取り入れてみてください。
※紹介商品の価格・販売状況は執筆時点のものです。
最新情報は各販売ページをご確認ください。


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